TOPへ

鼻中隔弯曲症

鼻中隔弯曲症とは?

鼻中隔弯曲症とは?鼻中隔(びちゅうかく)とは、左右の鼻腔を分ける仕切りで、軟骨と骨からなる板状の構造です。多くの方に多少の曲がりはみられますが、弯曲が強くなると鼻の空気の通り道が狭くなり、鼻づまりや息苦しさなどの症状が現れることがあります。
このように、鼻中隔の弯曲によって日常生活に支障をきたす場合には、「鼻中隔弯曲症」と診断されます。
なお、鼻中隔が多少傾いていても、症状が軽い場合には、必ずしも治療が必要となるわけではありません。鼻づまりや鼻の不快感が気になる方は、どうぞお気軽に当院へご相談ください。


鼻中隔弯曲症の症状は?

代表的な症状は鼻づまりで、鼻中隔の曲がりが強いほど、呼吸のしづらさが目立つようになります。鼻づまりが続くことで、次のようなさまざまな不調を引き起こすことがあります。

  • 鼻づまりが続く
  • 口呼吸の習慣がつく
  • においが分かりにくくなる(嗅覚障害)
  • 頭痛や頭が重い感じ(頭重感)
  • 鼻血が出やすくなる
  • 睡眠の質が低下し、睡眠不足になりやすい

鼻中隔弯曲症の原因は?

鼻中隔は、骨と軟骨という異なる組織で構成されています。これらは成長のスピードが異なるため、発達の過程で力のバランスが崩れると、鼻中隔に余分な力が加わり、構造的な歪みが生じることがあります。これが、鼻中隔弯曲症の主な原因と考えられています。
また、ラグビーや格闘技などの激しいスポーツや、事故・転倒などによる外傷で鼻を強く打った場合にも、鼻中隔が曲がることがあります。


鼻中隔弯曲症の
検査・診断方法は?

診断では、まず鼻の中を直接観察する視診を行います。必要に応じて鼻内視鏡検査やCT検査を併用し、鼻中隔の曲がり具合や周囲構造への影響を詳しく確認します。
さらに、鼻づまりの程度を客観的に評価するため、鼻腔通気度検査を行い、呼吸のしやすさを数値として測定します。これらの検査結果を総合的に判断し、診断を行います。


鼻中隔弯曲症の治療方法は?

薬物療法

まずは、症状の緩和を目的とした薬物療法を行います。使用する主な薬剤には、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬、抗炎症薬、必要に応じて抗生物質などがあり、患者さんの症状や併存疾患に応じて適切に使い分けます。
なかでも、血管収縮作用のある点鼻薬は、鼻づまりに対して即効性が期待できますが、長期間の連用により鼻粘膜が肥厚し、症状を悪化させる可能性があります。そのため、使用期間や方法には十分注意し、医師の指示のもとで使用します。
また、薬物療法に加えて、ネブライザー療法を併用することで、薬剤を鼻の奥まで直接届け、より高い治療効果が期待できます。

鼻中隔弯曲症を根本的に治すには手術が第一選択に

鼻中隔弯曲症を根本的に治すには手術が第一選択に薬物療法で十分な改善が得られない場合や、鼻づまりが日常生活に大きな支障をきたしている場合には、鼻中隔の構造そのものを矯正する手術が、根本的な治療となります。
当院では、患者さんの症状や鼻の状態に応じて、複数の手術方法を日帰り手術として行っています。各手術の内容や特徴については、以下で詳しくご説明します。


当院の鼻中隔弯曲症の日帰り手術

日帰り手術はこちら

鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型)

弯曲した鼻中隔をまっすぐに整える鼻中隔矯正術は、鼻づまりの根本的な改善を目指す治療法です。
手術自体は通常30分~1時間程度で終了しますが、症状や鼻の状態に応じて、

  • 粘膜下下鼻甲介骨切除術
  • 後鼻神経切断術
  • 内視鏡下鼻・副鼻腔手術

などを併用することがあります。その場合、全体の手術時間はおおよそ2時間程度となります。
手術は基本的に全身麻酔下で行い、内視鏡を鼻の穴から挿入して内部から操作するため、顔面や口腔の外側を切開する必要はありません。出血や腫れも比較的少なく、日帰り手術が可能です。
手術の流れとしては、鼻の穴から内視鏡を挿入し、鼻中隔の粘膜を切開・剥離した後、弯曲の原因となっている軟骨や骨の一部を取り除きます。その後、鼻中隔をまっすぐに整形し、粘膜を元の位置に戻して縫合します。内視鏡を用いることで、顔に傷が残ることはありません。
なお、鼻中隔の手術は骨の成長に影響を及ぼす可能性があるため、当院では中学生以下の方には原則として手術を行っておりません。高校生の場合でも、鼻の成長状態や体格、症状の程度などを総合的に判断し、適応を慎重に決定しています。

内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型・内視鏡下鼻中隔手術Ⅳ型

鼻の入り口付近から大きく曲がっているタイプの鼻中隔弯曲では、従来のⅠ型手術(内視鏡下鼻中隔手術)では、十分な矯正が難しい場合があります。このようなケースでは、鼻の前方にある皮膚と粘膜の境界部に切開を加える新しい術式が適応となります。これらの術式は、2024年6月より保険適用となりました。
具体的には、以下のような手術法があります。

内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型 鼻の入り口付近からの強い弯曲に対応する術式
内視鏡下鼻中隔手術Ⅳ型 鼻中隔の弯曲に加え、鼻の外見上の変形を伴う場合に適応

これらの手術は、Ⅰ型手術に比べて高度な技術と経験を要するため、対応可能な医療機関は限られています。当院では、内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型については、全身麻酔下で安全に実施できる体制を整えております。
一方、内視鏡下鼻中隔手術Ⅳ型については当院では実施しておらず、必要と判断された場合には、近隣の総合病院をご紹介いたします。
適切な術式の選択は、鼻内視鏡検査やCT検査を用いて鼻中隔の状態を詳細に評価したうえで、慎重に判断します。

慢性鼻炎を合併していたら?(必要時に必要な手術)

下鼻甲介手術を併用する場合について

鼻中隔弯曲症に加えて、アレルギー性鼻炎や慢性鼻炎を伴っている場合、鼻中隔の手術のみでは、十分な鼻づまりの改善が得られないことがあります。このようなケースでは、下鼻甲介の一部を切除・縮小する手術(下鼻甲介手術)を併せて行うことで、鼻腔内の空間が広がり、鼻の通りがさらに改善する可能性があります。症状や鼻腔内の状態に応じて、最適な治療方法をご提案します。


鼻中隔弯曲症の術後の注意点は?

一時的な症状(鼻づまり・粘膜の腫れ)

手術後の鼻づまりについて

手術後の鼻づまりについて手術直後から2~3日間は、手術部位の粘膜の腫れに加え、鼻腔内に挿入しているシリコンプレート、止血剤、綿球の影響で、強い鼻づまりを感じます。これらの症状は一時的なもので、術後翌日または2日目を目安に、鼻の中に詰めた止血剤の一部を取り除き、綿球を交換する処置を行うことで、徐々に改善が見られます。

その後も、シリコンプレートを抜去するまでの約2週間は、粘膜の腫れや残った止血剤により鼻づまりが続くことがあります。
この期間は、

  • 鼻炎薬や点鼻薬の使用
  • 食塩を加えたぬるま湯による鼻うがい

を継続することで、鼻腔内を清潔に保ち、症状の緩和が期待できます。

出血について

手術後の出血と応急対応

鼻中隔の粘膜は血流が非常に豊富なため、手術で粘膜を切開した後は、出血が起こりやすくなります。

手術当日
  • いきむ、力むなどの無理な動作や夜間に出血量が増えることがあります。
  • 通常は翌朝までに落ち着くことが多いため、鼻をかまず、安静に過ごすことが大切です。
手術後数日間
  • 軽度の出血が断続的に続くことがありますが、多くは自然に止まります。
  • 鼻腔内を清潔に保つため、食塩水での鼻うがいは軽く行っても問題ありません。
注意が必要な場合
  • 術後10〜14日目頃に手術部位の奥から突然出血することがあります。
  • この場合はすぐに当院までご連絡ください。
応急対応の目安
    1. 座って前かがみになる 
      鼻血が喉に流れ込むのを防ぎます。
    2. 出血している側の鼻の軟骨部分を軽くつまむ(5~10分) 
      出血が止まることがあります。
    3. 冷やす 
      鼻や頬、首の後ろを冷やすと血管が収縮し、出血を抑えやすくなります。
    4. 鼻を強くかまない 
      血流が増え、再出血の原因となります。

応急処置で出血が止まらない場合や、大量に出血した場合は、迷わず当院に連絡または受診してください。


鼻中隔弯曲症の手術費用

術名 保険点数 3割負担
内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型
(鼻中隔矯正術)
6,620点 19,860円
内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型
(鼻中隔矯正術)
29680点 89,040円

※上記費用に加え、診察料や薬剤料、処方料などがかかります。


鼻中隔弯曲症でよくあるQ&A

鼻が曲がっている気がするのですが、病気でしょうか?治療は必要ですか?

鼻の曲がりが気になる場合、「鼻中隔弯曲症」の可能性があります。
鼻の左右を仕切る板状の構造(鼻中隔)が大きく歪むと、鼻づまり・いびき・嗅覚の低下などの症状を引き起こすことがあります。

ただし、鼻中隔は多くの方で多少の曲がりが見られるため、症状がなければ特に治療は必要ありません。
気になる症状がある場合や、日常生活に支障を感じる場合は、耳鼻咽喉科での診察をおすすめします。

鼻の曲がりが気になります。治療を受ける場合、保険は使えますか?

鼻の変形が病気やケガによるものであれば、健康保険の対象となります。

  • 鼻中隔の歪みによる慢性的な鼻づまり
  • 外傷による鼻の変形(外傷性鼻中隔弯曲症・斜鼻など)

これらは機能的な障害と判断され、保険診療での手術が可能です。
一方で、美容目的の鼻の形を整える手術は保険適用外となり、自費診療となります。

どのような症状があると、鼻中隔弯曲症の治療が必要になりますか?

鼻中隔の歪みによって、次のような症状がある場合は治療の対象となります。

  • 鼻づまりが慢性的に続く
  • 口呼吸が習慣化している
  • 寝ているときのいびきがひどい
  • 嗅覚の低下が気になる
  • 頭痛が頻繁に起こる
  • 鼻血が出やすい

手術後に鼻がもろくなったり、弱くなったりすることはありますか?

ご安心ください。手術では必要最小限の軟骨や骨のみを調整するため、鼻全体の強度や構造に大きな影響はありません。

鼻中隔弯曲症の手術で、いびきは改善されますか?

いびきの原因が鼻中隔の歪みにある場合、手術によって鼻の通りが改善されることで、多くの場合いびきも軽減されます。

医師から「17〜18歳まで手術を待つように」と言われました。なぜですか?

鼻中隔は思春期を通じて成長を続ける部位です。成長途中で手術を行うと、その後の骨や軟骨の発育に影響を及ぼす可能性があります。
そのため、原則として成長がほぼ終了する17〜18歳以降に手術を検討します。